おときレシピ
今月のおとき
Vol.83「お餅と水菜の信田巻」
その昔、信太(しのだ・現在の大阪府和泉市)の森に住んでいた白狐。ある日、狩人に追われた白狐は助けてくれた男性の前に女性の姿で現れ、やがて二人は恋仲に。そこに生まれた子どもが後の陰陽師・安倍晴明だとか。
信太の森の白狐にあやかって、狐の好物である油揚げで食材を巻いた料理を信太巻と呼ぶようになったそうです。
信田巻という名称は、お揚げのことも伝承のことも説明していないのに、どんな料理であるのかを誰もが容易に思い浮かべることができます。名前というものはかくも力があるものなのですね。
浄土真宗では、阿弥陀さまの名前を呼ぶお念仏を何より大切にしています。名づけられ、名前を喚ばれるからこそ何百年も伝わり続けていく。そんなことを考えながら召し上がってください。
材料(2人分)
- 薄揚げ…2枚
- 水菜…80g
- 餅…1枚
【A】
- だし汁…200ml
- 醤油…大さじ1/2
- 塩…小さじ1/4
- 酒…大さじ1
- みりん…大さじ1
作り方
- 水菜は根元をよく洗っておく。薄揚げはキッチンペーパーで油を軽く拭き取り、包丁で開く。餅は薄く切っておく。
- 長い方の辺を手前に置き、水菜の1/2量ずつを端からはみ出ないように並べる。餅も同様に並べる。
- 手前から奥に向かい、きつめに巻きあげて、つまようじで開かないように止める。
- 鍋にAを入れて中火にかけ、ひと煮立ちしたら3を入れて中火で5分、落し蓋と蓋をして煮る。
- 火を止めて、食べやすい大きさに切り分けて、器に盛る。
(ワンポイント)
油揚げを煮るときに剥がれてしまわないように小麦粉を水で溶いたものでお揚げの端を糊付けしても構いません。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」令和6年5月号より)
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