おときレシピ
今月のおとき
Vol.73「焼きそら豆の田楽」
毎年この季節になると、そら豆が大好物だった先々代住職のことを思い出します。塩ゆでして皮をむき、中の柔らかい部分を数粒食べるのが大好きな祖父でした。もうずいぶん前に亡くなりましたが、今でもスーパーなどに出始めると必ず仏壇に供えています。高齢だった先々代と違い、歯も丈夫な私は皮ごといただきます。でも本当に美味しいのはそら豆を皮ごと焼き、その外皮の内側のワタの部分だと思うのです。皮を焼くことで蒸し焼きのような具合になったその部分をスプーンでこそぎ、塩や味噌をつけて召し上がってみてください。ポタージュスープのようなとろりとした甘い味わいがあるはずです。普段は捨ててしまうところが思いがけない旬の美味になる嬉しさが、祖父の思い出とともに心に温かく寄せてきます。
材料(2人分)
- そら豆…4本
【田楽味噌】
- 八丁味噌…大さじ1
- 酒…大さじ1
- みりん…大さじ3
- けしの実…適量
作り方
- 小鍋に酒、みりんを入れて弱火にかけ、ひと煮立ちさせてアルコール分をとばす。
- 当たり鉢(=すり鉢)に1と味噌を入れ、丁寧に当たる(する)。
- そら豆をさやごとグリルに入れ、さやの表面が黒く焦げるまで焼く。
- そら豆を剥き、器に盛りつけて2を塗り、お好みでけしの実適量をふる。
(ワンポイント)
そら豆を焼く際には、両面しっかりと焦げ目がつくくらい焼くと、ちょうど中が蒸し焼きになります。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」令和5年5月号より)
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