おときレシピ
今月のおとき
Vol.71「厚揚げの野菜あんかけ」
「あれもこれもじゃなく、ただひとつ」
よく法話でこうお話しします。あれやこれやと目の前にやってくるものにいちいち意識を動かされるのではなく、ただひとつ念仏に意識を向けましょうということです。
料理をする際にも同じことを考えます。大切にするのは、目の前にあるいのちを慈しむことだけ。
だから料理をするときにはひとつバットを余分に用意し、野菜の皮や切れ端など本来捨ててしまうものをよけておきます。捨ててしまったらそれきりですが、いったんバットに入れておくことで「食材」だと認識でき、これをどう使うか、どういただけるかと考えられるのです。捨てるのはそれでも余ったらで構いません。
そうはいっても切れ端なのでメインのおかずにするのは難しく、たいていは炒飯や炊き込みご飯の具にしたり、白和えにしたりします。今のような寒い時期にはこちら、朝のお味噌汁で半分だけ使い、残った豆腐をただ揚げただけの手作り厚揚げに野菜の切れ端をあんにしてかけたものはいかがでしょうか。
ただ目の前の食材に慈しみを向ける。それだけで立派な一品が出来上がります。
材料(2人分)
- 豆腐…1/2丁
- あまった野菜…適量
- (例として)
にんじんの皮・アスパラガスの皮・
さやえんどう・だしをとった昆布など
【A】
- 昆布だし…3/4カップ(150㎖)
- みりん…小さじ1
- 薄口しょうゆ…小さじ1/2
- 塩…少々
- サラダ油…大さじ1
- 水溶き片栗粉
水…大さじ1
片栗粉…大さじ1/2
作り方
- 豆腐を食べやすい大きさに切り、170℃の油(分量外)でじっくり揚げる。
- あまった野菜を千切りにし、熱したフライパンにサラダ油を引き、しんなりするまで中火で炒める。
- 2にAを加え沸騰したら、水溶き片栗粉でとろみをつけ、器に盛った厚揚げにかける。
(ワンポイント)
千切りにしにくいものであればみじん切りでも構いません。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」令和5年3月号より)
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