おときレシピ
今月のおとき
Vol.69「大根の柚子味噌田楽」
関東育ちの私にとって、寒くなると食べたくなるのが「おでん」です。たっぷりとお出汁を吸って美味しく煮えた具材にかぶりつくと、体だけでなく心も温まり、なんとも言えない幸せを感じます。
そんな「おでん」ですが、歴史を紐解くとなかなか深いものがあります。
もともとは平安時代、豊作を願って歌ったり踊ったりした田遊びを田楽と言ったのが始まりとされています。それが芸能として発展し、鎌倉・室町時代には田楽能として一世を風靡。その中の一つ、一本の竹に乗って踊る曲芸を模した料理として豆腐を串に刺したものもまた「田楽」と呼ばれ、広く好まれたのだとか。江戸時代には「田楽は昔は目で見、今は食ひ」なんていう川柳も詠まれたほどです。そこから、串をつけなくても豆腐や大根、こんにゃくを煮たものを総じて「おでん」と呼ぶようになり、今のかたちに至るという具合です。
さて、今回の田楽は串を使っていない現代の「おでん」に近いスタイルに仕上げたものに田楽みそを塗って焼いています。
料理を作るときも食べるときも、その背景にある歴史に思いを及ばせると味わいもひとしおですね。
材料(4人分)
- 大根…1/4本
- 昆布…5㎝角
【A】
- 醤油…大さじ1
- みりん…大さじ2
【B】
- 白味噌…大さじ3
- みりん…大さじ2
- 柚子の絞り汁…大さじ1
作り方
- 大根を2センチ厚さの輪切りにし、皮をむき、十字に隠し包丁を入れる。
- 鍋に大根を入れ、大根がかぶる位の米の研ぎ汁を入れ、20~30分下茹でする。
- 茹で汁を流し、鍋に改めて昆布と下茹でした大根、ひたひたの水とAを入れ、20~30分煮る。
- 別の鍋にBを入れ、弱火にかけながら5分ほどよく混ぜ合わせる。
- 大根を取り出し、4の味噌を上面にぬり、グリルで焼き目がつくまで焼き、盛り付ける。
(ワンポイント)
味噌を塗ってから焼くときにはできるだけ遠火で焼くといいでしょう。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」令和4年12月号より)
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