おときレシピ
今月のおとき
Vol.68「蓮根と舞茸のきんぴら」
今回の料理は、味の染みやすい舞茸と、なかなか染み込まない蓮根のきんぴらです。
仏教にこんなお話があります。
お釈迦様の弟子に二人の兄弟がいました。兄の摩訶槃特は頭が良く、お釈迦様の教えを聞いたそばから理解することができました。ところが弟の周利槃特は正反対で物覚えが悪く、いつも人からバカにされていました。
そんな周利槃特にお釈迦様は箒を渡して言いました。
「『塵を払い、垢を除かん』と唱えながら毎日掃除をしなさい」
塵と言えば垢を忘れ、垢と唱えれば塵が出てこない周利繋特でしたが、お釈迦様の言うとおりに毎日掃除をしました。
六年の月日が流れ、掃いても掃いてもどこからか現れる塵を見てあるとき周利槃特は気づくのです。
「塵や垢とは人の欲望なのだ!」
言ったそばから何でも吸収する者もあれば、長い時間をかけて心に落ちていく者もある。
同じように作ってもすぐに味が染みるものとそうでないものがあるのと同じですね。
それが口の中で一つの料理として融合するのは、多様な人が集まる社会と同じようなものだと思えば、実に味わい深いものです。
材料(2人分)
- 蓮根…1房(250g)
- 舞茸…1パック(200g)
- ゴマ油…大さじ1
【A】
- 醤油…大さじ1
- 味噌…大さじ1
- みりん…大さじ1/2
- 砂糖…大さじ1/2
- 酒…大さじ2
- 輪切り唐辛子…1/2本分
作り方
- 蓮根の皮をむき、縦に拍子木切りにし、水(分量外)に3分さらす。舞茸は食べやすい大きさに割いておく。
- フライパンにごま油を入れて熱し、水を切った蓮根と舞茸を入れて炒める。しんなりしてきたらAの調味料をすべて入れて水気がなくなるまで煮詰め、器に盛る。
(ワンポイント)
ごま油を多めにして炒めると味がいい具合に絡んできます。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」令和4年11月号より)
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