おときレシピ
今月のおとき
Vol.32「れんこんのすり流し」
蓮の花は、仏教ではとりわけ大切にされている花でもあります。泥水の中からすっと生えて美しい花を咲かせる姿が、混沌とした世の中に生まれた仏様の智慧や慈悲の象徴とされているのです。
その地下茎であるレンコンは、輪切りにすると穴がたくさん空いていることから「先を見通す」ことに通じ、縁起ものとして、お正月のおせち料理にも用いられます。
今回はこういった縁起物であるレンコンのおはなし。
「諸行無常」という言葉があります。すべての物事は常に変わり続けるといことです。
それは人との関わりも同じです。
仲の良かった友人とも、いつまでも蜜月が続く保証はありません。逆に、今よりも仲が良くなるかもしれません。
どんなことでも、同じ状態が永遠には続かない。これは世の中のあるべき相なのですから、受け入れるほかないのです。
たくさん開いた太い穴が「先を見通す」と喜ばれるレンコンも、調理してしまえばその穴もなくなります。それでもレンコンはレンコン。どんなに形が変わっても、レンコンであることには変わりはありません。
時の経過とともに状態が変化しても、一度結ばれた縁が消えてしまうことのないことを教えてくれます。
材料(2人分)
- 昆布出汁…1.5カップ
- れんこん…1節(150g)
- 酒大さじ…1/2
- 塩小さじ…1/2
作り方
- れんこんの皮をむき、おろし器ですりおろす。
- 鍋にだしを入れ、中火にかける。沸騰したら酒と塩、1を加え、とろみが付くまでよくかき混ぜる。
- 器にもる。好みで素揚げして塩を降ったれんこん(レンコンチップス)を浮かべる。
(ワンポイント)
レンコンを火に掛けるととろみがでてきますが、このとろみが旨味のもとです。
【監修】青江覚峰
一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。
(機関紙「ともしび」平成31年4月号より)
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