戦後80年を迎えて平和を願う
戦後80年を迎えて平和を願う
本年は、第2次世界大戦が終結して80年を迎えます。戦後生まれの方が日本人口の9割近くを占め、戦時体験者が減り、戦争の悲惨さが風化しつつあります。現在も世界各地で戦争状態が続いていますが、我々はメディアを通して伝わってくる悲惨な情報は素通りしています。戦後80年をご縁として、大戦において我々佛光寺教団が戦争賛美の時代に抗うことなく、大勢の人を戦場に送り出したことへの反省と、2度と戦争を繰り返すことなく平和であり続けることを願います。
真宗佛光寺派は、親鸞聖人のお念仏のみ教えを伝え、一切のいのちの大切さを伝えることを使命としています。戦争とは、そのいのちを奪い、それに繋がるいのちをも苦しめることです。『仏説無量寿経』には、48の弥陀のご本願が説かれ、その第1願には「もし国に、地獄、餓鬼、畜生があるならば仏とはならない」との誓いが説かれています。戦争は人を餓鬼、畜生とし、殺し合いの地獄をつくり出します。阿弥陀さまが何故最初にこの願いを起こされたのか、深く自己に問うていかねばなりません。
お釈迦さまは「己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(『法句経』)と述べられています。現代に生きる我々は、過去のわが教団がおこなった戦時教学の誤りを反省し、親鸞聖人が仰られた「さるべき業縁のもよほさばいかなるふるまひもすべし」(『歎異抄』)という我らの人間性を深く受けとめ、本願念仏のみ教えを広宣していかねばなりません。平安の世をつくり、安穏なる生活が送れるための努力と責務とを果たしていくことを決意し、戦後80年を迎えての声明といたします。
令和7年7月1日
真宗佛光寺派 宗務総長 八木 浄顯