2026年1月のともしび

常照我

 正月飾りに用いられる竹。まっすぐ伸びる姿から、成長や繁栄の象徴とされてきた。
 竹のしなやかな強さは節にある。もし竹に節がなければ、風雪に耐えられず、たちまちポキリと折れてしまうだろう。
 竹が節を作りながら力強く天へ伸びる様から、人生の区切りを「節目」と呼ぶ。入学式や卒業式など、人生には様々な節目がある。節目に私たちはこれまでの歩みを振り返り、これからの生き方を考える。節目が人生を強くしなやかなものへと変えているのだ。
 法事もまた、人生の大切な節目だと言える。亡き人を思い出す時間は、自分の人生を問い直す時間でもあるからだ。
 亡き人からいただく節目だからこそ、竹の根のようにしっかりと私を支えている、念仏の事実が確かめられるのである。

イラスト 岡山県真光寺住職 守城尚子さん
(略歴)成安造形大学メディアデザイン領域CG・アニメーションコース卒業。株式会社ピーエーワークスに約三年勤務。退職後に岡山県真光寺住職を継職。現在は、放課後児童クラブ支援員、イラストレーターを兼業。

御親教

門主 渋谷 真覚

日ごとに秋も深まり、風に揺れる木の葉も彩りを深める中、ようこそ御正忌報恩講にお参りくださいました。ただ今は、皆様方と共に「正信偈」のお勤めができましたこと、たいへん有り難くうれしく思います。
 本年は、戦後八十年という節目にあたります。先月には、佛光寺本廟にご安置されている戦没者ゆかりの御骨仏の前で「戦後八十年 戦没者追弔法要」のお勤めをさせていただきました。戦没者を偲び、平和を尊び、いのちを重んじ、後の世に戦禍の記憶を伝えゆく決意を新たにいたしました。
 その戦禍に焼かれた日本も、めまぐるしいスピードで復興を遂げ、八十年の時を経て経済的に豊かな時代になりました。
 しかしそのような中、先般、ユニセフによる先進国など四十三か国に住む子どもの「幸福度」を調査した報告書が公表されました。その報告書によりますと、日本の子どもの「身体的な健康度」は第一位でありましたが、「精神的な幸福度」が三十二位と低迷したそうです。
 子どもたちの精神的苦悩に対する大人の認識の低さが指摘され、高い自死率につながっているのだとも言われています。仏さまに願われて生まれてきた尊いいのちが、自らによって絶たれていくことに大変大きな悲しみを憶えます。
 親鸞聖人は「浄土和讃」に、
 たとい大千世界に
 みてらん火をもすぎゆきて
 仏のみなをきくひとは
 ながく不退にかなうなり
と詠われ、どのような状況にあっても、阿弥陀仏のみ名を聞くことで、その声に励まされながら、いただいたいのちを一途に歩んでいける力になるのだとお示しくださいました。
 私たちは、言葉の海を生きています。その中で、傷つけ、傷つけられ、人間関係に思い悩むこともあります。そのような苦悩の中にある私たちを案じてくださっているのが阿弥陀さまです。
 阿弥陀さまは、南無阿弥陀仏という名前にまでなってくださった仏さまです。私がその名を称えるところ、どんな時も私の身を離れず、私の身に入り満ちてくださり、私を目覚めさせるための喚び声となってくださるのです。
 私たちが、今まで当たり前としてきたこと、頼りとしてきたものが、すべて崩れ去った時、普段聞こえてこなかった阿弥陀さまの喚び声がはじめて、苦悩する私たちに響き、聞こえてくるのです。みなさまと共に、阿弥陀さまが名前となり、喚び声となってくださったそのお心を尋ねてまいりたいと思います。
 仏法は、人から人へと伝わります。そのためには、まずはお念仏の響くお御堂に身を置くことが大切です。お御堂へは、できれば一人でお参りするのではなく、若い方にも、周りの人たちにもお声がけをしてくださって、ご一緒にお参りいただければと思います。
 今日、お参りくださった皆さま方によって、お念仏の輪がますます拡がっていきますよう念願いたします。
 本日はようこそお参りくださいました。

年頭のご挨拶

宗務総長 八木 浄顯
 
 新年を迎え、お内仏にてご家族お揃いでお参りされ、新たな歩みを始められたこととお慶び申し上げます。
 毎年異常気象や地震が話題となる中、昨年末はクマによる人的被害が毎日のように報道されていました。その背景には色々な専門家の指摘がありますが、異常気象も含めて、全て人間が作り出したことが原因ではないでしょうか。地球上に一つの細胞が誕生し、様々な縁により計り知れない「いのち」に分化して、それぞれに共生してきました。しかし、現代はクマだけでなくあらゆる生き物(人間も)が共生しにくくなっているように思います。
 弥陀の本願はすべてのいのち「衆生」にかけられた願いです。人間は知識を得て、地球上において「万物の霊長」と自尊して、我が物顔で自由を謳歌しています。
「天声人語」に「身一つで命を全うする他の生き物と違い、収奪し、汚染し、破壊して鬼っ子さながら。ひとり人間だけが直し方の分からないものを壊し続けている。・・・」とありました。
 江戸を代表する俳人の一人で常に念仏を称えていた小林一茶(一七六三~一八七二)の句には、小動物や食物を詠んだものが多くあり、浄土真宗の教えが句の根底にあるように思います。小さな生き物である「スズメ」「かえる」「蝶」「カタツムリ」や、人に嫌われる「蚤」「蚊」「ハエ」という生き物をあえて題材としています。
「菜の塵や 流れながらに花の咲く」という句があります。我々の分別でゴミとして捨てられた菜が、しぶとく花を咲かせていることに感動し褒めたたえています。そこには動植物との一体感が詠まれています。一茶には、逆境にあってもめげずに生き抜くという「生」が、主要なテーマになっています。
 日頃のわれわれの便利で快適な生活を見直すことはなかなか難しいことです。しかし、阿弥陀さまの絶対に見捨てないという(一茶においては「あなたまかせ」)大きなはたらき「本願力」を信じ、自分の小さな思い「人知」を恥じることで、生き方が変わってくるのではないでしょうか。
 一茶は、我が身や家庭にまつわる不幸に最後まで振り回される一生を送りました。科学は発展しても、いつの時代でも何が起きるかわからない娑婆世界を私たちも生きています。自分の力で生きてきたのではありません。私には無量の寿(いのち)に育まれての今があるのです。 奢ることなく日々を大切に聞法の生活をされますよう念じまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
 南無阿弥陀仏
 南無阿弥陀仏

おときレシピ Vol.100「麩レンチトースト

 今年は石川県にご縁をいただきまして、何度か現地に足を運びました。中でも多く訪れた南加賀地域には、報恩講料理を中心に今もなお地域特有の食文化が色濃く残っており、とても勉強になりました。
 さて、今回は車麩を使った一品です。この車麩、石川県は全国トップクラスの出荷額を誇ります。わたしも普段からよく使う食材のひとつで、以前こちらのコラムでも「角煮もどき」をご紹介しました。今回は趣向を変えて甘いデザートです。
 名づけて「麩レンチトースト」。ダジャレかと馬鹿にするなかれ。簡単に作れる上に、もっちりとした食感も楽しく実に美味しいデザートです。ぜひご自宅でも作ってみてください。

車麩(大)…2枚
【 A 】
豆乳…200cc
砂糖…大さじ2
片栗粉…大さじ1/2
 
サラダ油…大さじ1
メープルシロップ…適量
Aをパットに入れ、よく混ぜあわせ、車麩を入れ、2時間ほど漬け込んでおく。
フライパンに油を入れ、弱火で熱したら1を入れ、じっくりと両面焼き上げる。
器に盛り付け、好みでメープルシロップをかける。

(ワンポイント)
 アイスクリームやジャムなどのお好きなものを添えてお召し上がりください。
 ミントなどを飾れば立派なご馳走になります!

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【監修】青江覚峰
 一九七七年、東京浅草生。浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職。
 カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。NHKをはじめテレビ、新聞などメディア出演も多数。